イングリッシュ・エレクトリック キャンベラのライセンス生産機であるマーチン社のB-57 キャンベラは、1953年から生産が終了する1959年まで、B-57各型を403機程生産しましたが、中でも高高度偵察を目的としたロングスパンのRB-57D型 が20機程含まれていました。
RB-57Dの目的で、冷戦の最中である1960年代初期、相手方核実験の分析、大気収集等を行うことが重要でしたが、RB-57D Wing Sparの問題でグランドしていたことが多くあり、当時米空軍とRB-57Dのメンテナンス契約をしていたジェネラル・ダイナミックス社が、RB-57Dの更なる発展型として開発し、1963年に原型機が初飛行したのがこのRB-57F型です。
翼の再設計(Spanを106 feetから122feetへ更に延長、構造の3-Spar化)、エンジンをJ57からTF33 ターボフアンエンジンへ変更しJ65エンジン追加等のパワーアップ化等を行い、RB-57Dより、更に高性能の高高度偵察機として、従来機から21機が改造(Remanufactured)されました。
当時のマーチン社は、1961年に合併しマーチン・マリエッタ社となったことで、AGM-12ブルパップ、AGM-62ウオールアイ等のミサイル生産部門が主となっていたため、RB-57F型の開発についてはGD社で、正式名称は「Martin/General Dynamics RB-57F」型となります。 なお、マーチン・マリエッタ社は1995年にロッキード社と合併し、現在のロッキード・マーチン社(F-35、F-22、F-16等生産)となり、現在最大級の軍用機メーカーともなっています。
日本での1960年代は、横田の気象観測部隊(56th WRS)の機体更新時期(WB-50D, WB-47E)と重なったことで、横田には重点的にこのRB-57F型が配備されました。
RB-57F型で最後に追加発注された4機(63-13500~63-13503、すべてRB-57Dからの改造でRivet Slice仕様等 )と、最初の生産発注機(63-13286~63-13302の17 機)でも米空軍への引き渡しが1967年と最も遅くなった最後の3機(63-13300~63-13302 Rivet Chip仕様等 )でRB-57Aからの改造機(他はすべてB-57Bからの改造 )3機等は、すべて横田基地配備で確認できました。
なお、RB-57F型のミッションの詳細及び各機の装備の違い等は、時代が時代であり、現在でも、あまり具体的な資料は有りませんので写真から等で判断できればと思います。
横田基地には56th WRS(Weather Reconnaissance Squadron)と6091st Reconnaissance SquadronのRB-57Fがいたとされています。
1965.12.14ドイツのラインマイン基地のRB-57F(63-13287)が、未確認ですが、黒海上空でソ連ミサイルにより撃墜されたこと(微妙な問題で、酸素故障により墜落ともされている)、横田のRB-57Fが、1965年頃の一時期、中国の核実験場に近いためパキスタンの基地から監視行動を行っていたこと、その際、米軍了承のもとにパキスタン空軍で運用していたRB-57Fの1機が、勃発した第二次印パ戦争(1965年)に使用されインド側のミサイルにより被弾(墜落は免れ、修理後復帰)したこと等が記録に残っています。
なお、1968年になり、すべてのWeather Serviceに使用されていたRB-57F型はWB-57F型の名称となり、米空軍で最後まで使用されていた58th WRSのWB-57F型も1974年には運用停止となっています。
その後は、NASA等の民間機となったWB-57F型のみが、現在も飛行できる状態となっています。 但し、NASAでの最も新しい機体、N927NA機は、1972年からRB-57F 63-13295として砂漠(Davis-Monthan AFB)で保管されていた機体を2011年に回収、整備後2013年から飛行再開(41年間保管)した機体です。 |