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 平成30年07月02日掲載

〔 Vol.01 : R4360エンジン 「その1」 〕

 
最初は、1960年代、最後のレシプロ大型4発機の次の4機種を選びました。 この共通点は、レシプロエンジン最後で最大の大型エンジンである、P&W R-4360 ワスプメジャー 四重星形28気筒エンジン装備の4発機だったことです。 

 このエンジンは星型7気筒を4列にした最大の航空用レシプロエンジンで、総排気量約4,360立方インチ、出力は3,000馬力から後期のターボチャージャー付きで4,300馬力、多くの機種に採用され、1955年までに18,000台余が生産されました。
点火プラグだけでも56個装備されるため、整備の手間は大変であり、このエンジン以降、大出力エンジンはジェットエンジン(ターボプロップ)となったため、歴史に残るエンジンとなりました。

 
❖ボーイング WB-50D 49-0332 気象観測機{1965年 横田基地 瑞穂町}

 4,000機近く生産された大戦中のB-29爆撃機をベースにエンジンをパワーアップ R-4360エンジンに換装したのがB-50型で、約370機程生産されました。 朝鮮戦争時も含め爆撃機としての実戦参加は有りませんでしたが、その後、この気象観測機や空中給油機として改造され、1965年頃まで使用されました。
 胴体後方上部に大きな煙突状の大気観測用のエアスクープが装備さていますが、当時横田基地へ配備され、台風観測等、爆撃機としての強度を持ち、台風の眼の中心部まで直接飛行する等話題になっていました。 現在は、遠く離れていても観測できる、口衛星や高高度からのドロップゾンデ観測が主体となっています。

 

❖ボーイング KB-50J  48-0047 空中給油機{1964年 横田基地}

B-50の空中給油型で112機程改造されました。 当時の給油対象となる戦闘機等はすべてジェット機であり、給油時の速度等を補うため翼端に2基のJ-47ターボジェットエンジンが追加された型で、両主翼端の給油用ポットと胴体後部から給油用ホースが3セット使用可能でした。なお、B-50型は1947年に初飛行しましたが、1949年2月26日 B-50A 46-0010ラッキー・レディーⅡが、世界初の無着陸世界一周飛行を行ったことで知られています。 KB-29から空中給油を受け、37,000kmを94時間余りで飛行した記録です。
 参考に、初代のラッキー・レディーⅠはB-29型で、1948年に世界一周飛行32,000kmを、飛行時間103時間余、8か所着陸し、15日間で回った記録の機体です。

 

❖ダグラス C-124C 51-0145 グローブマスターⅡ{1964年 立川基地}

1949年初飛行、R-4360 3,800Hpエンジン4発の大型輸送機、二層式のキャビンと機首の大型貨物ドア及びリフトを装備、1955年までに448機製造されました。60年代は、立川基地で数多く見ることができ、1974年まで米空軍で使用されました。1953年 立川基地を離陸したC-124A  51-137が、直後のエンジン故障で現在の小平市に墜落、搭乗の129名全員が死亡、当時航空史上最大(初めての100名超死亡)の航空事故となった経緯があります。

 
❖ボーイング EC-97G  52-2724 ストラトフレイター{1966年 横田基地}

C-97は、爆撃機B-29、B-50をベースに胴体を輸送機型としたもので、1944年に初飛行、1947年以降はR-4360エンジンを装備した各種量産型が、約800機程生産されました。
KC-97 空中給油型が最も多く生産され、この機体もKC-97Gから改造されたC-97G輸送型で135機が改造され、更にEC-97Gとなった機体です。 なお、この機体の民間型はボーイング377 ストラトクルーザーで、PAA等がこの大型の胴体を生かした、長距離旅客機として羽田等で見ることができました。

 

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